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【第2回】広告でCVをKPIにするのは大きな間違い!?理解すると見えてくる「広告」と「販促」それぞれの本当の役割

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マーケティングの今とこれからを探っていく連載コラム「ボーン・トゥ・プラン ~明日なき計画~」。第2回の今回は意外と理解されていない「広告と販促の違い」について。
この2つの違いをしっかりと理解していないと、根本の施策やKPIがズレてしまう可能性も…?
デジタルマーケティングの申し子「アナイグマ」が分かりやすく解説します。
第1回はこちら

アナイグマって??

イントロダクション

話はとある社員Aの一言から始まります。

来年度から注力商品のビスケットの売上を大幅にUPさせないといけなくて、、KPIもキツいし、どうしよう…!とりあえず広告を打って、商品がどんどん売れるようにしないと…!

ちょ、ちょっと、待ってください!とりあえず広告って、「広告」と「販促」は違うってことをきちんと理解していないんじゃないですか?そこのすみ分けが出来ていないと、売上の大幅増なんて難しいですよ!

え、そうなんですか!広告と販促の違いって…なんだろう?

広告とは「広く告げること」

広告とは文字通り、多くの人にお知らせをすることが目的になります。
例えば、売りたいと思っているビスケットをまずは多くの人に知ってもらう為に、テレビCMなどのマス広告やインターネット広告などを使ってお知らせをする。そうすることでユーザーに興味を持ってもらい、お店まで来てもらう。
これが「広告の役割」になります。

新商品や新フレーバーを発売する際は、まず広告を使って認知拡大を目指すのが良いでしょう。

販促とは「販売を促進すること」

一方で販促とは、ユーザーの購買意欲を掻き立てて、商品を買ってもらうことが目的になります。代表的な販促手法として、「コラボ・SALE・セット売り」等といった施策があります。
例えば、自社商品と大人気アニメがコラボした商品を作ることで、普段その商品にさほど興味がないユーザーにも買ってもらったり、通常だと1人1個しか買わないような商品でも、セットでお得だからという理由で2個以上買ってもらう。
これが「販促の役割」になります。

特にインターネット広告が台頭してきたころから、広告で成果を出すことが当たり前のような風潮になっているけど、本来あくまで広告は商品の認知拡大による集客が目的なので、厳密に言えばCV・成果目標とは切り離して考えるべきなんです。成果目標はどちらかと言うと販促施策につけるべきKPIなんですよ。

なるほど!それぞれで役割や持つべきKPIが全く違うんですね。

そうなんです。では基本的な違いが理解できたところで、更に2つの違いについて深堀ってみましょう。

「広告と販促」2つの決定的な違い

先ほど説明したこと以外にも、広告と販促には様々な違いがあります。

「施策を行う場所」が違う

実は「広告と販促」とでは、施策を行っている場所がそれぞれ違います。

「販促」は前述のとおり、コラボやSALE、セット売りといった施策になるので、実際に行われている場所は「売り場」になります。自社商品が少しでも多く売れるように、隣の棚に置いてある類似商品よりも付加価値(コラボやSALE等)を付けて、よりたくさんのユーザーに選んでもらえるようにしているのです。

一方で「広告」は、販促のように売り場で見かけることはほとんどありません。主にテレビや雑誌、メディア等で見かけることが多いのではないでしょうか。つまり広告は、ありとあらゆる場所で打つことができる施策なのです。

ここで少し応用編ですが、広告によって来店を促進、売り場の販促によって買ってもらう、という流れだけでなく、コラボやセット売りなどの販促施策を実施してますよとCMなどでお知らせするのは「広告」になるんですね。

確かに!そうやって入り組んでいると混同しやすいですが、目的を考えると違いがわかりますね。

「イニシアティブを握っている人」が違う

広告と販促では、企業のなかでそれぞれ主導権を握っている人・部署が明確に異なります。

まずは「広告」について。
営業・マーケ・開発といった部署がある中で、主導権(イニシアティブ)を握っているのは誰だと思いますか?

正解は「マーケ(広告宣伝)」にあたる人が主導権を有してます。
広告宣伝の担当者は、自社商品を年間でこれだけ売るために、このくらいの広告宣伝費を使う必要があるというのを決めて、それぞれの施策に対して予算を割り振っていきます。

一方で「販促」の主導権を握っているのは、「営業(営業企画)」です。
営業企画の担当者は、お店でこれだけ売りたい・あのお店とこういう関係になりたい・お店にこれだけ売って欲しいといった様々な考えを踏まえながら、販促施策を企画して売り上げを伸ばしていくのです。

へぇ~!今まで広告と販促の意味を混同していたので、明確に分かってスッキリしました!

理解してもらえて良かったです。ただインターネットが発達した現代において、多くの人が2つの意味を混同してしまっているのも事実です。

今2つの垣根がなくなっている

ひと昔前だと、商品はお店に行かないと買えなかったので、広告で多くの人に知らせて、お店ではSALE等の販促をしたりと、それぞれの役割が明確に分かれていました。
しかし、デジタル化が進んだ現代においては、Webサイトを閲覧して欲しい商品をワンクリックすれば、何でも買えてしまう時代です。そのため、広告と販促の距離がグッと縮まり、それぞれの役割を区別しにくくなりました。

また、インターネット広告に関しては、広告から販売までのルートが直結している為、広告効果によってどれだけ売れたのかというのも重要視されています。そのためインターネット広告では、「広告」が本来の役割を担うだけで、成果目標に全く寄与しなくて良いか否かに関する議論が度々あがります。

ちなみにアフィリエイトって「広告と販促」どちらだと思いますか?混同されがちではありますが、どちらかと言うと「販促寄り」なのです。 アフィリエイトはたくさんの人にお知らせをするのが目的ではなく、記事の中で商品の魅力や限定キャンペーン等を伝えて、より多く販売するのが目的になるので「販促施策」として扱われます。

確かにアフィリエイトって直接CVを取りにいくから販促に近いですね。

従来の広告、そして成果まで追えるから販促と区別しにくくなったインターネット広告、更に成果に特化したアフィリエイト。このように曖昧になっていくなかでクライアントが「広告をやりたいのか」「販促をやりたいのか」を見極めるのが重要になってくるんです。

なるほど。広告と販促の役割を明確に理解していれば、クライアントに提案する際もスムーズに話を進められますね。

まぁ大抵は「どちらもやりたい」と考えてることが多いんですけどね。

まるで最初の私のようですね。。改めて違いを理解できて良かったです。

「販促」=「売れる所」に、「広告」=「売りたい所」に

私が考えるに、「売れる所」に実施するのが「販促」で、「売りたい所」に実施するのが「広告」だと思っています。 「販促」は過去実績などから、こういう施策を行うと買ってくれる人たちがいる、その母数を増やしていくのがその役割です。 「広告」は自社商品を使ってもらいたい人、使ってもらったらメリットを感じて貰えるであろう人を振り向かせるために打つ、自分ごと化して気づいてもらうのが役割ですね。

それを理解せずにどちらもやりたいと考えていると。。

そう、そもそも「売れる所」と「売りたい所」はターゲットが異なるので、しっかり線引きしないと上手くいかないんです。少々乱暴ですが、目的が認知である「広告」でCVをKPIにする、というのはナンセンスなんですよ。

もう一度目的とKPIを改めて考えます!

アナイグマのひとこと

売りたい所にお知らせする「広告」には、特に「想い」が込められていると思います。クライアント、なかでもブランドセクションの方とお話すると強く感じます。ただし他部署との温度感の違いや理解を得られないが故に成果目標も求められるケースは多々あります。売上・利益を追及する企業としてはそれも当然ですが、どうしてもどっちつかず、というかブレた施策になってしまいがちです。「販促」で「売れる所」だけにフォーカスしているとやがて枯渇します。新たなターゲット層を発掘していく「広告」はその先の顧客に繋がるから重要なんだ、ということを浸透させることが大事ですね。ただでさえ広告でターゲットに自分ごと化してもらうのも大変なのに、社内でも認知していかなきゃならないなんて、、ジャーニーは長くなりそうですね。