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脳科学で論証あるマーケを!?消費者の無意識な意思決定を解明するニューロマーケティングをご紹介!

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脳からの指令によって起こる発汗や心拍数の変化で嘘を見抜く「ウソ発見器」や、微弱な”脳波”を調べることで病気の有無や身体に異常が発生していないかを検査する「脳波検査」。このように脳の働きを応用する技術は生活の至るところで活用されています。
脳科学の研究は進み、今や脳とコンピュータを繋ぐための研究まで行われるほど進化しました。

そんな中、マーケティング業界では脳科学をマーケに活かして活用しようという「ニューロマーケティング」という動きが活発になっています。
何故なら”ブラックボックス”だと思われていた”消費者の無意識の選択”を解明出来る鍵になるのではと言われているからです。
ここで、「ニューロマーケティング」とは一体何なのか、マーケターにとってどんな利点があるのか、この記事で解説していきます。

ニューロマーケティングとは?

「ニューロ(neuro)」とは脳や神経、神経組織といった意味を持っています。
そんな脳科学の知見を用いて消費者の無意識下にある心理や行動の仕組みを知り、マーケテイングに活かす手法です。ニューロリサーチとも呼ばれます。

これまで、消費者の声を知る為にはアンケートやSNSでの調査を行うのがオーソドックスでした。しかしアンケートもSNSも消費者が思考を行った後に言語化した情報しか集めることが出来ず、さらにそれが消費者の本音なのかも不明瞭でした。

しかし、意思決定を行う時、実はそこまで熟考していない場合もあります。人間の心理は9割が無意識と言われるように「なんとなくこっち」という判断が大半なのです。
そんな無意識下で行われる意思決定のプロセスを感情や脳の反応から可視化、数値化して、客観的に評価出来るアプローチ手法として活用するマーケテイング法です。

この「なんとなくの判断」は消費者自身も認知していない為、アンケートやSNSを用いても表に出づらい部分でした。しかしこの「なんとなくの判断」はブラックボックスと呼ばれるように購買行動を深く理解するためのヒントが無限に秘められているのです。
そのため、脳科学を活用した分析をしよう、という動きが活発になりました。

ニューロマーケティングのメリット

そんなニューロマーケティングのマーケティングにおけるメリットは何でしょうか?
簡単に説明していきます。

本音を知ることができる

消費者の無意識な判断、つまり消費者自身さえも認知していないインサイトを知ることが出来ます。
そのため販促やPRにとどまらず、開発や企画、新規顧客開拓やナーチャリングなど幅広く活用できる消費者データとなるのです。

感情の変化を時間ごとに分析出来る

ニューロマーケティングでは人間がコントロール出来ない脳波や心拍数、心身の変化を見ながらデータを取っていきます。そのため意思決定プロセスまでの感情の移り変わりを分析し、定量的に理解することができます。
このデータにより消費者の感情が移り変わる瞬間に効果的にアプローチできる施策の立案が可能になるのです。

ニューロマーケティングの3つの指標

ニューロマーケティングでは無意識下の状態を可視化するために3種類の指標が使われています。この3つをかけ合わせて調査することが有効的だと言われています。
ひとつずつ説明していきます。

生理指標

脳波・心拍数・発汗・血圧などの身体に関する数値のことで、人間がコントロール出来ない生体反応を数値化したものです。
生体反応は無意識の心理と連動しているので、感情を分析する時に有効とされています。

行動指標

視線の動き・表情・反応時間・説門に対する正解率など、人間の心身の変化を定量化した数値のことです。
対象物を見た後に反応を起こす時間や、どのように視線が流れていくかなどを分析できます。

主観指標

アンケートやインタビューなどで、消費者自身が発言・記述したデータです。従来のアンケートなどで取得できる情報とほぼ同等ですが、この指標も前述した生理指標、行動指標とかけ合わせるとより効果的だと言われています。

ニューロマーケティングに使われる技術

実際にニューロマーケティングではどんな風に調査をしているのでしょうか。代表的な技術を3つ紹介します。

アイトラッキング

眼球の動きを分析する技術です。
視線がどこに集中しているか、どのように視線が動いたか、どのタイミングで視線を動かしたか、などを計測します。
ユーザーの視線の軌道を把握することで、WEBサイトのUI改善やパッケージデザインの考案などにも役立つデータが取得できます。

表情解析

顏の表情(目や唇の動き)から感情を分析して、科学的に推定する技術です。
対象物を見せてその表情を解析、「面白い」なのか「不愉快」なのか、目や唇と言った顏の動きで感情(=どう思っているか)を導き出します。
広告効果を分析するための情報として活用する事が出来ます。

fMRI

MRIを活用して、脳の活動を画像化する技術です。
脳内で活性化している部分を把握することで、被験者の直感的な反応が分析できるようになります。
専門の技師や専門的な分析が必要になる為、簡単に導入出来るものではないですが、その分得られるデータの信頼性が高いと言われています。

ニューロマーケティングの活用事例

ニューロマーケティングは大手企業を含め様々な企業で既に活用されています。
その一部を紹介していきます。

お腹が空いたらスニッカーズ

チョコレート菓子のスニッカーズのキャッチフレーズは有名ですよね。
消費者の感情を調査するのではなく、脳に刺激を与える、という方法でニューロマーケティングを活用しました。

このキャッチフレーズを多用することによって空腹時にスニッカーズを連想させる目的があり、ご存知の通りこの戦略は成功しています。

ベビラボ(株式会社バンダイ)

株式会社NeU×株式会社日立製作所×東北大学との共同研究で開発された赤ちゃんの玩具にもニューロマーケティングが活用されています。

まだ言葉を話せない赤ちゃんが音楽でどのように変化するか、脳血流の変化や心拍変動、表情や声の観察などで、科学的に調査・検証を行いました。
結果、赤ちゃんがごきげんになる「Gメロディ」、ゆったりな気分になる「Yメロディ」を見つけ、赤ちゃんの「ぐずり」に対応出来るような「脳科学メロディ」シリーズの玩具を販売しました

電通の感性アナライザ

電通ではニューロマーケティングに使えるツールを開発しており、実用も既にされています。
感性アナライザというツールで脳波計から取得した感性を分析できる簡易型評価キットです。
ヘッドギアとiPadのみで実施ができ比較的簡単に調査可能なことから、キャッチフレーズの通りニューロマーケティングをより身近に体験・活用できるツールとして活用されています。

博報堂ブレイン・ブリッジ・バイオロジー

博報堂は潜在意識や深層心理をマーケティングに活かす専門チームとして博報堂ブレイン・ブリッジ・バイオロジーを発足しました。その中で「ブレイン・ブリッジ・プログラム」を推進したり、国内外の専門家との連携を深めていく活動をしています。

このチームが行った調査方法は、テレビCMを視聴してもらいその場で脳波を測定、感情の変化を集計した後に視聴後のインタビューで対象者の主観を調べました。
脳波の感情変化とインタビューの内容が合致している場合、この調査の信ぴょう性が高く、脳科学的根拠として評価されました。

博報堂ブレイン・ブリッジ・バイオロジー:https://www.hakuhodo.co.jp/uploads/2011/09/20090818.pdf

ニューロマーケティングで注意すべきこと

ニューロマーケティングとは、消費者の無意識を覗く事でもあります。
自分でもわからない無意識を何もかもさらけ出されるのは誰もが嫌な気持ちになりますよね。このように、ニューロマーケティングの実施や取り扱いには気を付けなければならない注意点があります。

脳の情報はプライバシー

消費者の生理指標・行動指標・主観指標はどれも消費者の情報、すなわち個人情報です。
重要な個人情報なので、取り扱いはもちろんの事、倫理的に「どこまで分析してい良いモノか」も慎重に考えなければなりません。
情報の管理体制や倫理的な判断軸をしっかり整備、調整してから導入を検討してください。

脳科学の常識が一変する時もある

脳科学は発展途上であり、日々多くの研究が取り組まれています。
いつどんな「ノーベル賞」レベルの大発見があってもおかしくない分野です。
もしかすると、ニューロマーケティングにおいて「有効」だった判断軸が、「無効」に一変する可能性があることも忘れてはいけません。
常に調査方法や分析方法のアップデートを心がけ、理論や分析結果を鵜呑みにせずに仮説検証を繰り返すことも重要です。

まとめ

消費者自身も把握できていない「無意識下の判断」を理解することでより良いマーケティング活動を行う為のニューロマーケティングをご紹介しました。
消費者インサイトを知ることは、消費者との相性や接点を見出す為にはとても重要です。
想像や想定を超えた、聞いたことのない「顧客の気持ち」を聴くことが出来るかもしれないですから。

ただ、いきなりニューロマーケティングを行うと言っても専門的な知識や専用機器等の準備などハードルが高いなと感じられる方もいらっしゃると思います。
そんな方はぜひ、ソーウェルバーの施策診断サービスをご検討ください。
人工知能を活用して自社サイトの「外」の潜在層データを分析し、現状の施策の振り返りと新たな施策の提案を行います。
ぜひ一度、下記よりお問い合わせください。

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