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エビデンスベーストマーケティングとは何か

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現代のマーケティングでは、チャネルや消費者行動が複雑化し、「勘」や「経験」だけで意思決定することがますます難しくなっています。そこで注目を集めているのが エビデンスベーストマーケティング(Evidence-Based Marketing / EBM) です。

EBMの特徴

EBM の特徴は、単なるデータ分析や数値管理ではなく、複数の信頼できる根拠=エビデンスを体系的に統合して意思決定する点 にあります。
具体的には、次のような複数の証拠を組み合わせます。

  • 広告・サイトの定量データ
  • SNS上の生活者インサイト
  • 市場統計・外部調査
  • 先行研究(ブランド成長モデル、CEPs など)
  • 専門家・実務家の知見

これらを総合して施策を判断することで、「なぜその判断をするのか?」を説明可能にし、組織として再現性のあるマーケティングを実現できるのが EBM の特徴です。

例えば、あるEC企業が「SNS流入が増えているからSNS広告を強化すべきでは?」と感じたとします。
しかし、離脱率や購入率を確認すると SNS 経由は購入に繋がりづらい一方、検索経由はCVRが高いという事実があるかもしれません。さらに SNS 上ではその商品に対して「比較検討情報が少ない」という声が見つかることもある。市場では同カテゴリの商品が“ある状況(CEPs)”で選ばれやすいという研究がある。

こうした 複数の証拠を統合すると、施策の優先順位は直感と大きく変わる ことがあります。
これこそが EBM の価値です。

なぜ今、EBMが必要とされるのか

デジタル化に伴い、ユーザーの接点は細分化し、ひとつのデータだけでは市場全体を捉えにくくなりました。

  • 表面的な数字だけではユーザーの文脈が読めない
  • 施策の成否が局所最適になりやすい
  • 過去の成功体験が通用しない場面が増えている

こうした状況では、意思決定の“質”を底上げする枠組みが不可欠です。

また、近年のマーケティング科学では

  • ブランド成長にはライトユーザーが重要
  • 購買は特定の“状況(CEPs)”で誘発されやすい
  • 認知と記憶構造の形成が長期成長を左右する

といった研究が蓄積されており、これらもEBMの重要なエビデンスとなります。

つまり、EBMは単なる効率改善の手法ではなく、
「短期」と「長期」両方の成長を科学的に設計するためのフレームワーク なのです。

EBMを実践するための本質的ステップ

EBM は特別な分析手法ではなく、判断の透明性と再現性を高めるためのプロセスです。

複数のエビデンスを集める

自社データだけでは不十分。SNSの声、外部調査、先行研究など“偏りを減らす”ための証拠を揃える。

エビデンスの信頼度を評価する

サンプルの規模、再現性、他の研究との整合性などをチェックし、「どの根拠をどこまで信頼できるか」を明確にする。

エビデンスセット(判断の根拠パック)を構築

ひとつの数字ではなく、複数の証拠を組み合わせた「判断基準」を作り、施策判断を体系化する。

意思決定プロセスを明文化する

「どのエビデンスにもとづき、この施策を採用したのか」を説明できる状態にする。
組織としての再現性・透明性が向上する。

エビデンスを継続的に更新する

市場や生活者の価値観は変化するため、SNSデータなど変化の激しい領域は定期的にアップデートする必要がある。

EBMの限界と注意点

EBMは強力な考え方ですが、絶対的な答えを提供するものではありません。

  • データの偏りによる誤読
  • 数字に表れにくいブランド価値の軽視
  • 過去データが未来を保証するわけではない

しかし、これらを理解した上で「複数のエビデンス」を組み合わせれば、従来より遥かに精度の高い判断が可能になります。

まとめ

EBMは、マーケティングを根拠にもとづいて進めるための重要なアプローチです。しかし、データの整理・分析・インサイト抽出を継続的に行うには、仕組み化された環境が欠かせません。

HAKURAKUは、エビデンスとなるSNS上の膨大なポストを自動で整理し、ペルソナ・カスタマージャーニー・CEPなど、戦略設計に必要なアウトプットを即座に可視化できます。
エビデンスベースのマーケティングを実践したい企業にとって、強力な基盤となるツールですので是非お問い合わせください。

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