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【セミナーレポート】どのツールを使うべき?今さら聞けない顧客分析ツールの特徴とは

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2021年8月24日、SMT株式会社ビジネスプロデュース部にて「どのツールを使うべき?今更聞けない顧客分析ツールの特徴とは?」というテーマのウェビナーを開催しました。

弊社から、広告主に向けて広告運用から分析ツールを使ったプランニング等の幅広いマーケティング支援業務を行う高橋が登壇し、基本的な分析ツールの概要、代表的なツールの特徴等をご紹介。今回はそのセミナー概略をレポートしていきます。

【基本】分析ツールは『手段』で単体では成果を得られない

分析ツールを活用する中で「分析ツールを取り入れても何の成果も生れない」と思ったことはありませんでしょうか?

もしかするとそれは、分析ツール本来の目的を見失ってしまっているのかもしれません。

分析ツールの本来の目的は、データから成果を得る事では無く、データ分析から改善根拠を定量的に示し「何かしらの成果を上げるヒントを得ること」にあります。つまり、現状を改善させるために何をすればいいのかを探す「改善のための材料を見つける」ツールなのです。

分析ツールとは本来、蓄積されたデータを分析し活用させるために使われる『手段』である為、そのデータ上から成果や正解を得る為のツールでは無いからです。

例えば、デジタルマーケティングにおいて、ロイヤルカスタマー層の増加や、顧客層を増やし、売上UPに繋げることが成果になる事が多いですが、この成果を果たす為に、自社のどこに課題があるのか、どこに伸びしろがあるのか、を把握するために分析ツールを活用することが、本来の分析ツールの正しい目的となります。

なので、分析ツールが示してくれているのは、あくまでもデータからみえるヒント・材料であり、そのヒント・データ材料を基にどのような施策を実施すべきなのかを、考え実行してはじめて成果が上げられるものなのです。

代表的な分析ツール「GA」「MA」「CRM」

基本的な分析ツールの在り方を見直したところで、皆様が日頃活用されている、顧客分析には欠かせない代表的な分析ツール「GA」「MA」「CRM」に焦点を絞り、紹介をしていきます。

「どの顧客」に対する「どのような施策」なのかによって活用する分析ツールは異なり、それぞれの違いを理解し効果的な使い方をすることで、より貢献度の高い「ヒント」を見つける事が出来ます。

それではまず、各ツールの主な特徴と役割を簡単に説明します。

GA

【顧客】サイト解析アクセスツールであるため顕在層の顧客化を強化するためのツール
【施策】自社サイトの課題を把握・仮説を立案

MA

【顧客】見込み顧客・顧客化出来ている層を効率的に強化するためのツール
【施策】仮説を基に作った施策を実行

CRM

【顧客】既にいる顧客をセグメント化し、自社の顧客理解を深めていくためのツール
【施策】顧客データを整理し、顧客と密接な関係を構築

このように各々の特性を持っているツールですが、そのツールが出来た背景を知ることで、よりその特性を深く理解することが出来ます。

ここで各ツールの開発背景と、その特徴を説明してきます。

Google Analytics(GA)とは

GAの目的と開発背景

このツールを一言で説明すると『サイトのコンディションを把握するツール』です。

GAが出来た背景としてはインターネットの普及に伴い、顧客が多種多様な媒体で情報を得ている中で、自社サイトの重要性も高まり、その中で精確に自社の情報や魅力を伝える必要性が出来てきたことに起因します。

情報・魅力を精確に伝える為に、その情報源でもある自社サイトのコンディション(現状)を把握し、改良を重ねていくことで、情報の精度を上げていく為に開発されたツールなのです。

そんな背景から、GAは「サイト全体の数値を定点観測し、異常値やトレンドから課題を抽出、その解決策の仮説を立てる事」を目的にGAを使うことが最も効率的な活用方法となります。

アクセス数が増えない、CVに繋がらないなどの課題を解決できるツールだと誤解されることもありますが、本来GAは「課題の仮説が立てられるツール」になり、施策の実行が出来るツールではない事を理解しておく必要があります。

GAを使う上でおえるべきポイント

GAを活用していく中で、ページビューやCV数、滞在時間など様々な指標がありますが、それらの裏側には必ずユーザーがおり、そのユーザーが「どのようなニーズをもっているのか」、「そのニーズは満たされているのか」、を想像しながら数値を見ていくことがポイントになります。

自社サイトの目的によって、求められるユーザーのニーズも変動していき、そのユーザーの動向変動によってGAの数値も変わってきます。そのため、結果として出される数値の捉え方も異なってくるのです。

例えば、「直帰率が高い」という課題に対して、対象がキャンペーンLPの場合、求めていた内容では無かったため直帰率が高い、という可能性があります。満足出来る情報が得られずににサイトを出てしまったという事は、課題改善の余地があることを意味しています。

ですが、サイトがサービス利用方法を記載したページの場合はどうでしょうか。

流入したユーザーが一度の訪問で満足できる情報を得られた為に直帰率が高くなっている可能性があり、すなわち、そのサイトの目的は達成されている事が分かります。

またECサイトやコーポレートサイトなど、サイトの種類によって数値の平均値も変動していくため、一般的な平均値と共に、日々の数値変動をしっかり確認し、分析していくことが重要なツールになります。

Marketing Automation(MA)とは

MAの目的と開発背景

このツールを一言で説明すると『営業効率を上げるツール』

MAが出来た背景としてはGA同様インターネットの普及に伴って、購買プロセスのインターネット化に起因しています。

自社から発信する情報以外でも、自社情報を顧客が取得するような時代になった為、従来の営業活動では売上の最大化が望めなくなるほど、営業プロセスが複雑化してしまいました。そのため、複雑化した営業プロセスと多様化している顧客のニーズを把握するために開発されたツールです。

MAを使う上でおえるべきポイント

MAツールも数多くあ、りどのツールを使用すればいいか分からない、という声も聞きますが、ツールを決める為には「自社がどの業界に属しているか」、「どれくらいリード数を保有しているのか」、という部分を判断軸にして導入するのがベストです。

そんなMAの使い方は、GAなどのツールで見つけた課題を元に施策を実行する「手段としてのツール」であり、顧客ではなく施策を分析し、施策のPDCAを回して営業効率を上げていくようなツールになっています。

特にMAはWEBマーケティングと連動させることで、新規顧客の獲得を強化することが出来ます。

なぜなら、MAはWEBサイトへのアクセスログの収集や、リードスコアリングの機能を持っているので、WEBで獲得したリードをそのままMAツールに取り込んで活用することで顧客の育成=ナーチャリングを行うことができるからです。MAはいまや顧客層拡大には無くてはならないツールとなっています。

Customer Relationship Management(CRM)とは

CRMの目的と開発背景

このツールを一言で説明すると『顧客管理ツール』

CRMが出来た背景としては、「価値観の多様性」「市場の細分化」「外部脅威」など新たに発生し続ける要因のため、ただモノを売っても売れない時代になったことで、顧客の事を精確に理解して、顧客にあった戦略を練る必要性が高まった事が起因になっています。顧客と良好な関係を構築し維持する為に、顧客を正しく把握して管理する為に開発されたツールです。

CRMを使う上でおえるべきポイント

ネット上で顧客の事を精確に理解するには、既存の顧客データを整理して、優良顧客とそうではない顧客に分類し、優良顧客はなぜ優良顧客になったのか、優良顧客になりやすいのはどんな顧客なのか、などの特徴を導き出す事が必要になります。

特に優良顧客を深く理解することで、自社の成功ノウハウを蓄積出来ると共に、独自の成功法則を導き出す事が出来ます。
そして、より精確に深く理解するためには、既存顧客と優良顧客、既存顧客と新規顧客、などの各セグメントを比較しながら正しい特徴を抽出することがCRMを使う上でポイントになってきます。

以上3つの代表的なツールを紹介しましたが、この3つのツールはベストな箇所で、効率的に取り入れることで、その成果を最大限に発揮することが出来ます。

潜在層への対策・分析も不可欠

ただ、今回のウェビナーで紹介したツールは、あくまで自社テリトリー内の顧客についての分析を中心としており、実は、その分析だけでは的確なターゲットの把握は不十分なのです。
何故なら、自社サイト「内」だけを見ているため、自社サイトの「外」や潜在層の分析が出来ておらず、ターゲットが把握しきれていないからです。

顕在層・顧客層の対策だけでは何故いけないのか、潜在層まで分析してターゲットを理解する必要が何故あるのか、それは、潜在層から顧客を引っ張ってこなければ顧客層は枯渇していく一方だからです。

また、競合との優位性を図るために、他社が行っていない潜在層の分析まで行うことで顧客理解を深めていき、差別化を測ることが重要になります。

潜在層から見込みとなる顧客をがどのようなユーザーなのか、どのようなニーズを抱えているのかを理解し把握していくことが、顧客拡大には必要不可欠なのです。

自社サイト「外」と潜在層を分析するツール

当たり前に使われている分析ツールでは見きれない自社サイト「外」、潜在層のデータ分析ですが、人工知能を活用する事で分析可能になったツールがあります。
その分析ツールの特徴と事例をご紹介します。

VALIS‐Cockpit

このツールは顕在層に至る前に、興味を持った経緯や、接触前の動向などの行動データを可視化し、正しいユーザーの特徴を捉えて潜在層を分析するツールです。
分析ロジックとしてはアクションユーザーと非アクションユーザー、例えば自社サイトに「流入したユーザー」と「流入していないユーザー」を比較し、特徴・興味を可視化。
そしてこの特徴・興味を時系列ごとに分析する事によって、その動向がどのように変動していくかも見ることができるのです。

一般的な分析ツールではサイトにアクセスした人だけを分析しているので、その対象の履歴のみを抽出している状態であり、そのユーザーの過去動向を確認しようとしても直前のリファラしか把握できません。
しかし、弊社のVALIS‐Cockpitは約4億UBのデータと、AIであるVALIS-Engineをかけ合わせることで、サイトにアクセスしていないユーザーの特徴も同時に抽出が可能になります。
そして、アクションユーザーと非アクションユーザーを比較することで、重複する特徴が打ち消され、精査された特徴の抽出が可能になるのです。

例えば、一般的な分析ツールの場合、サイトにアクセスしたユーザー(アクションユーザー)のみを分析しており、下記の図左部分で示す「メガネ」「女性」「長髪」が共通して現れた特徴であったとします。
しかし、VALIS‐Cockpitで自社サイト外の非アクションユーザーの特徴を抽出すると「メガネ」「男性」「欧米系」という特徴が出てきました。

このことにより、アクションユーザーの特徴だと考えていた「メガネ」は非アクションユーザーの特徴でもあったため、実はアクションユーザーの特徴ではなかったということがわかります。更に特徴だと捉えていなかった「アジア系」ということがアクションユーザーの特徴であったことにも気付くことが出来るのです。
このように、比較をすることで、特徴の精度を上げることがVALIS‐Cockpitの大きな特徴と言えます。

また、「自社サイト流入とそれ以外との比較」、「広告接触しクリックしている人としていない人の比較」、「キーワード接触している人としていない人を比較」する事で、潜在層の中でも、よりサイトに近いユーザーの特徴、遠いユーザーの特徴の線引きまで可能になるのがこのツールの特徴です。

このVALIS‐Cockpitではカスタマージャーニーグラフ分析やタグクラウド分析、ステージフローに加えてスコア分析など、多角的な角度から分析を行うことで、潜在層への理解を深めていくことができます。

VALIS‐Cockpitの活用例(家電メーカーA様の場合)

ここでVALIS‐Cockpitでどのように分析を行っていくのか、簡単に事例をご紹介します。
潜在層になりうるユーザーのコミュニティ把握の為に活用した事例です。

メーカーA

4週間前には興味に「家電・レシピ・外食・株」という動向があり、
KW接触後、A社興味と競合興味に移行

メーカーB

4週間前には興味に「レシピ・外食」
2週間前には「ホットプレートレシピ・パーティーメニュー」に移行し、
B社興味へ移行し競合への移行はなし。

同じ家電メーカーでも自社サイト「外」を見ることで、こんなにも違いが出てきます。
この実績データからも確認できるように、同じ家電メーカでもユーザーが普段滞在しているコミュニティが違うため、同じような施策を展開することは大きな誤りであることがわかります。とるべき戦略が異なっていることを示す重要なエビデンスとなります。

この状態を認知出来ずに既存の施策を行っていると、重大な機会損失を生んでしまう場合もあり、普段は見えにくい潜在層への対策・分析が必要不可欠な事が分かります。

まとめ

今回分析ツールをおさらいしたように、各分析ツールの特徴を正しく把握し、顧客層・顕在層・潜在層、それぞれの理解を進めて行くことが、これからのWEBマーケティングでの施策を進める為にはとても重要です。

特に潜在層分析は同じWEBマーケティング施策を行う競合との差別化を測る為にも、無くてはならない要素となっていることをご認識頂き、新たな施策を練る為にお役立て頂ければと思います。

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