近年のデジタル広告はDX化やAIの発展も相まってどんどん進化しています。
今回はそんな進化を続けるデジタル広告の闇の1つである「アドフラウド」について説明していきます。
なんとなく知っている、という方にも対策法を踏まえてお伝えするので、ぜひ最後まで読んでください!
アドフラウドとは?
簡単に訳すと「アド=広告」と「フラウド=詐欺」で『広告詐欺』という物騒な意味を持ちます。
これはユーザー側(広告を受け取る側)に仕掛けることではなく、広告主(広告を打つ側)に対して一部の事業者が行ってしまうもので、無駄なクリックや無駄なインプレッションを増加させ広告費用に対する成果を故意に水増ししてしまう、という不正です。
後述しますが、アドフラウドの方法は様々なタイプがあり、不正される前や広告配信後の数値の違いで気づくことも難しいのが現状です。
ですが、そんな不正に対して広告配信プラットフォームはアドフラウド対策を促進しており、2019年のYahoo!社でアドフラウド対策として約5900件もの広告配信面を停止したというニュースは当時大きな話題を呼びました。

アドフラウドはなぜ蔓延してしまう?
デジタル広告の市場はこの20年で大きく成長を伸ばしています。
広告主と消費者とのコミュニケーションの場としてもデジタル広告を活用することは、今後も増え続けていくでしょう。
デジタル広告はそんな大きな成長市場であるために、悪意を持った不正サイトやハッカーなどに狙われてしまっている事も原因の一つです。
また、もう一つの原因として広告主や一般ユーザーが巻き込まれる形でアドフラウドの拡大に加担してしまうことが挙げられます。
広告主にとって成果の水増しで広告費を余分に支払わされ、一般ユーザーは不正業者が作成したボットに感染し、不正clickやインプレッションに無意識に加担してしまうのです。
デジタル広告の配信は、トライ&エラーの繰り返しであり、テスト配信などですぐに効果が出ない場合もありますが、その効果が出ていない理由が『成功のための試行錯誤』であるのか『不正事業者が故意に行っている』事なのかを広告主、もしくは代理店として見極めなければなりません。
アドフラウドの種類
アドフラウドにはどのような不正方法があるのか、いくつかご紹介していきます。
これらの手法は実に巧妙で、気を付けるべきとわかっていても、気づかぬうちに被害にあってしまっている事も多いことがわかります。
自動リロード(Auto Refresh)
自動で何度も広告を更新することで、大量の広告表示を発生させる手法です。
サイトのページ全体を、広告枠のみを、スクロールに合わせて、など数秒単位で細かくリロードさせて広告表示回数を不正に増加させます。
隠し広告(Hidden Ads)
インプレッションの成果で取引される広告において、広告表示枠を見えづらくして掲載する手法です。
別の広告を重ねたり、見えないサイズの広告を表示したり、表示域外に広告を表示させたりするなどして、ユーザーに見えていないにもかかわらずインプレッションがカウントされてしまいます。
偽ドメイン (Domain Spoofing)
大手の公式ウェブサイトのドメインになりすまして、ユーザーを誤誘導し多くのインプレッションやクリックを不正に獲得する手法です。
ほかにも別のアプリになりすましてアプリインストールやクリック、インプレッションをカウントさせる「SDK Spoofing」も大きな問題となっています。
広告の差し替え(Ad Injection)
「インジェクタ」と呼ばれるプラグラムによって、不正な広告に差し替える手法です。
本来広告がでているべき所に不正サイトの広告タグが入ってしまうため、正式なサイト(メディア)に入るはずの広告収入が不正サイトへ入ってしまいます。
Cookie感染(Cookie Stuffing)
不正サイトや強制ポップアップでユーザーのcookieを上書きすることで、その上書き(感染)されたユーザーが正式なサイトで見たのではなく、不正サイトで広告を見たかのように偽装する手法です。こちらも正式なサイト(メディア)に入るはずの広告収入が不正サイトへ入ってしまいます。
データセンタートラフィック(Data Center)
データセンターなどの広告を閲覧する環境ではない場所、利用していないIPアドレスから不正に広告へアクセスする手法です。
アクセスする情報を詐称してあたかもユーザーからアクセスされたように見せかけるなど巧妙化しており、見分けるのが難しくなっています。
クリック洪水(Click Flooding)
実際クリックされていないにもかかわらず、大量架空クリックがあったと偽装して成果を水増しする手法です。ボットによって自動で行われる場合や人が手動で行う場合もあり、急激に数値が増えるのが特徴です。
ファーム(Farm)
大量のデバイスを使ってクリックを不正に発生させる手法です。
こちらもボットや手動など手段を用いてクリックや表示回数を増やしています。
ブラウザの自動操作(Imp/ClickBot)
自動でブラウザを操作するプログラムを作成し、まるで人が操作しているように見せかける手法です。
ブラウザだけではなく、デバイスやサーバー、クラウドなどネットワーク上のあらゆる場所に潜伏しており、ユーザーが気づかないうちに不正なクリックを増やしています。
アドフラウドが発生すると…
広告不正として広告費水増しの被害があるだけではなく、ブランドイメージの棄損や間接的にユーザーに被害をもたらしてしまう可能性があります。
また「質より量」を重視してしまい「ターゲットによる良質なクリック」よりも「ターゲット外の購入見込みが無いところでの表示が増える」ような配信に進んでしまいがちです。
更にそれが知らず知らずのうちにアドフラウドを呼び込んでしまっている場合もあります。
そのため
- 無駄なコストの流出や水増し請求
- 配信結果による正確な効果測定ができない
- メディアなどのユーザビリティの低下
- 不快な広告によるブランド棄損
など広告費だけでなく多くの損害が与えられる、もしくは与えてしまうということを意識するようにしてください。
アドフラウドへの対策
自社の広告配信を守るために「アドフラウド」「ブランドセーフティ」「ビューアビリティ」の3つの要素から成り立つ「アドベリフィケーション」と呼ばれるリスク対策があります。

正しい配信面に広告が配信されているか、検証を行う手法をさします。
言葉の通り「ブランドの安全性」を考慮し、自社のブランドイメージにそぐわない面に配信されてしまっていないかを確認します。
ブランドセーフティ
正しい配信面に広告が配信されているか、検証を行う手法をさします。
言葉の通り「ブランドの安全性」を考慮し、自社のブランドイメージにそぐわない面に配信されてしまっていないかを確認します。
ビューアビリティ
配信している広告が本当に”人間・ユーザー”に視認されたのかを検証する手段をさします。例えばインプレッションは画面上の最下部、もしくはデバイスの画面外に一瞬でも表示されていればカウントされてしまいますが、ビューアブルインプレッションは媒体によって違いはあるものの、ユーザーが可視できる範囲内に何秒以上などの条件をクリアしたものだけがカウントされます。
本当に見られているか?を検証する仕組みのことです。
このように、カウント数やブランドの安全性を守る事が大切だということは理解しつつもどうやって検証すればいいのか?まず何をすればいいのかわかりませんよね。
ここで個人でもできる対策法とアドフラウド対策ツールを少しだけご紹介します。
中には無料で試せるサービスもあるので気になる方はぜひ導入を検討してみてください。
自分でできるアドフラウド対策ー計測
計測結果を確認して不自然な動きがないかチェック
広告の配信を行っている場合、日々効果測定を行いながら異常な数値が出ていないか確かめることが大切です。
- あるタイミングで異常な程クリックが増加している。
- アプリのCTITが極端に短くなっている。
- アクティブ率が異常なほど高いユーザーが現れた。
など、上記のような異常値が出た場合、クリック洪水やハッキングデバイスでのクリックなどの不正の場合もあります。
不思議な数値があると疑うようにしましょう。
アドフラウド対策におすすめのツール
このようにアドフラウドへの対策方法もいくつかありますが、仕組みを作ったりするのはとても大変です。そのため、まずは他施策するためのツールを導入しましょう。
いくつかのツールをピックアップしたので、簡単にですが紹介してきます。
SpiderAF

豊富な媒体に対応していること、そして日本のマーケットに合わせたサービスで安価からの導入が可能。
X-log.ai

AIで無駄なクリックを確認して自動排除をしてくれるスムーズさと、ほとんど確認作業だけで導入ハードルが低いです。
無料版と有料版があり、無料版のほうでも十分なパフォーマンスを発揮してくれます。
IAS
IASはアドフラウド対策の大手として世界的に名のある企業であり、違法Botがいつ、どこで、どのように自社に侵入したかを特定するなどの質の高いサービスを提供しています。
Momentum

国内初のアドベリフィケーション事業の会社であり、広告主、メディア、アプリ、アフィリエイト、様々な角度からアドベリフィケーションを提案しているので、対策に注力されたい方はコンサルも含め検討してみてはいかがでしょうか?
最後に
アドフラウドについて、その種類と対策を説明してきました。
日本はビューアビリティが低水準であり、なおかつアドフラウド率が高いという現状があります。企業としても対策を講じなければならない状況なのです。
ですがいきなりいわれてもわからない、ツールを入れても万全とは言えないかも、そうお考えの方はぜひ配信前に「量より質を考えた良質なメディア」を選定することを心がけてください。
もし、どのメディアがいいの?新しいアプリ広告どこで出せばいい?などお悩みの方は当社までお問い合わせください。
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